【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第74章 届かないから
朝
太陽の光がわたしの顔を照らし、眩しくて顔を顰めた。
「ん…」
目に飛び込んできたのは見慣れた自分の部屋の天井。
寝起きで見るのは久しぶりだ。
むく。と身体を起こすと昨日の出来事をふと思い出す。
昨日は結局あれからわたしはベッドで、赤井さんはリビングのソファーで就寝。
一夜明けた今でも、赤井さんと知り合いでおそらく恋人同士だったと言う記憶を思い出せないままだ。
もし事実だとしたら、どうしてそんな大切な人のことを忘れちゃったんだろ…
怪我した時の記憶がないことと、何か関係があるのかな
そんなことを考えながら寝室のドアを開けた。
リビングのソファーには赤井さんの姿はなく、残骸のブランケットが綺麗に畳まれて置いてあった。
何だ、いないのか。とソファーを眺めていたその時、後ろのキッチンから突然聞き慣れない声がした。
「目が覚めましたか」
バッと振り返ると、そこにいたのはまたもや見知らぬ男性。
ミルクティー色の髪にメガネで赤井さんとは似ても似つかない。
「どっ、泥棒!?」
当たり前のようにキッチンに立って朝食を作っているその不審者に、わたしは思わず一足飛びに詰め寄り、右手で裏拳を繰り出した。
けれど紙一重のところでその拳はガードされ、その男の頬に亀裂が走る。
皮膚が不自然に裂け、そこからは血は出てこない。
「なに?!何者?!」
「落ち着け。俺だ」
その男はそう言った後、亀裂の入った顔面をあろうことかビリッと音を立てて剥がした。