第73章 アイラブユーを探してる

赤井side

ジョディと共に退院の手続きを行い、 サラの病室まで迎えに行くと、すでに荷造りを終わらせたサラが難しい顔をして何かを考えていた。


「じゃあ、行きましょうか。サラちゃん」

「…」

「サラちゃん？」

「あ！はい！何でもないです」


そう言って笑うサラ。
不思議だ。以前は サラが考えていることはある程度お見通しだった俺だが、今彼女が何を考えているのか見当もつかない。

荷物を持って病院のエントランスに降りた俺たち。
ジョディは後はよろしく。と俺の肩を叩いた後、自身の車で仕事に戻って行った。

そして未だ俺と住むことに納得していなさそうなサラはマスタングの後部座席に乗り込んだ後、居心地の悪そうに会釈をした。


「じゃあ、よろしくお願いします」

「あぁ」


気の利いたセリフも言えず、ただひたすら家路を急ぐ。

以前なら、助手席に乗っていた。
運転席から目線を右にずらすと、サラも運転する俺を盗み見ていて、目が合うと顔を赤くした後にふふっと微笑む。
そんな情景が、今やバックミラーに映ったサラは窓の外を眺めていて目が合うことはない。

ドライブがこんなに苦しい時間になるのは初めてだ。


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