【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第72章 黒く、暗く
赤井side
結局あの日はサラが目を覚ますことはなく、ICUの前でずっと張り込んでいても状況は好転しないと思った俺は、FBIの仕事に戻っていた。
「秀、ねえ聞いてる?!」
「…あ、あぁ」
何度話しかけても上の空だったんだろう。
俺の様子を見て、ジョディが心配そうに眉を下げた。
「やっぱり、病院でサラちゃんが目を覚ますのを待っていたら?」
「いや、もう5日眠ったままだ。いつ目覚めるかもわからないし、どのみち俺はICUには入れない。
目覚めたら、俺に連絡が来るように病院に伝えてある」
「そう…心配ね…ICUから出られたらまだいいんだけど」
そう。今の状況だといつ最悪の事態になってもおかしくない。
はやく目を覚まして欲しいと思う反面、スマホが鳴るのが怖いと思っている自分がいる。
必ずしも、良い知らせとは限らないからだ。
そんなときだった。
〜♪
俺のポケットの中に入れていたスマホが鳴った。
「病院からじゃない?!」
「あぁ」
ジョディの言う通り、画面には米花中央病院 脳外科という文字が。
大丈夫。きっと良い知らせだ。
そう自分に言い聞かせて2度深呼吸した後、俺はその電話を耳にあてた。
「はい。」
「赤井さん。サラさん、ICUから通常病棟に移ることになりましたよ。」
「…つまり」
「ええ。もう大丈夫。
後少ししたら目を覚ますと思うので、そばにいてあげてください」
俺は、スマホを持つ手が震えた。
急激に襲ってきた安堵でふと力が抜け、スマホを落としそうになりながら
「向かいます」
と、やっと一言そう言うと電話を切った。