第62章 永遠の不在証明　-中編-

ボウヤはそんな俺に、ある事件が発生したことを告げる。


「でもジョンさんが誘拐されてしまった」

「なに！？」

「発信器の信号を辿ると、ジョンさんは今空港からの一本道を抜けて、おそらくトリトン大橋を東へ。
追える？」

「あぁ」


発信器とは、流石だな…
そう思いながら車を走らせていると、ボウヤとの通信にノイズが入り、声がうまく聞き取れなくなった。

まあいい。
あのボウヤのことだ。
恐らくまた何らかの手段で、目的地を連絡してきてくれるはずだ。

そう思い、二つの分かれ道の東を選択した俺。

しばらく走っていると、後ろからバイクのエンジン音が聞こえた気がした。

バックミラー越しにその姿を確認すると、どうやら俺の車を追ってきているようだ。


「あのバイクにメット…まさかな」


見覚えのあるそのライダーにぽつりとこぼした時、ノイズに邪魔をされていたボウヤとの通信にに、灰原哀とボウヤがやり取りしている音声が入ってきた。


「ジョンさんは本島に入って、東海IC付近を南下しているわ。
この速さは、車かバイクね」

「昴さん！ジョンさんはいま…」

「聞こえた。東海コンビナートだな」


最終目的地が判明した俺は、さらにアクセルを踏み込み、到着を急いだ。

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