【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第60章 二股の女? ☆
結局あの日、助けが来たのは言われていた通りぴったり3時間後だった。
沖矢さんがずっとわたしを後ろから抱きしめていたせいか、エレベーターから脱出した後、如月さんはちょっと悲しそうな顔をして、
「論文見てくれてありがとう。
…じゃあ…ね!」
そう言って、無理に笑って手を振って帰っていった。
またね。と言われなかったことに、わたしは心底ホッと胸を撫で下ろした。
諦めてくれたんだ。そう思って喜んでるなんて、随分余裕のない彼女で自分に呆れてしまうほど。
あれから数日経った今日、赤井さんとマスタングに乗って夜のドライブをしている。
「赤井さんって、車運転するの好きだよね。
全然わたしに運転させてくれないんだもん」
「お前の免許、ATだろう?
それに、サラが運転するとぶつける。100%な」
「…否定はできないです」
この間、道端を歩くチワワに気を取られて事故りそうになったことをつい思い出して、わたしはしょぼんと下を向いた。
「まぁ、俺が運転が好きなのは確かだな。
特に、隣にお前を乗せているときは一番楽しい」
またそんな、一瞬でわたしを虜にする甘い言葉を、恥ずかしげもなく言う赤井さん。
わたしばかりドキドキさせられて悔しい。と言う思いと、赤井さんにもわたしにドキドキしてもらいたい!というワガママな気持ちが合わさり、わたしは運転中の赤井さんにおねだりをする。
「赤井さん、キスしたい」
「運転中だ。帰ってからな」
心からの要望を即却下されたわたしは、ちぇ。と口を尖らせてまた下を向いた。
大きな交差点、わたしたちの車が差し掛かったとき、ちょうど信号が赤になる。