第58章 Shape of you ☆

そして、ぽつりとつぶやいた。


「…やっぱり赤井さんも、見るんだ…」

「これは、キャメルが無理矢理…」


言い訳をしようとする赤井さん。
別に、悪いことをしてるわけじゃないもん。
むしろみんな普通に見てるからこそ売っているのであって…

必死にそう思いながら、わたしは昼間に梓さんに聞いた謎理論を呟く。


「いいの。男の人って、彼女とか奥さんを毎日抱いてると、たまにお魚やパスタが食べたくなるんだよね？知ってる」


そこまで言ったあと、じわ…と涙が滲んだ。
最悪だ。
こんなことで泣きたくないのに、わたし以外の人に赤井さんが興奮していたと言う事実が悲し過ぎて、つらい…


「知ってるけど、やだ…
わたしじゃ物足りない？」


ポロポロと涙をこぼしながらそう聞くと、赤井さんは慌ててわたしの身体をぎゅっと抱きしめてくれる。


「そんなわけないだろ？
むしろお前しかいらない。」

「…やっぱり金髪が好きなんだ…
わたしも金髪にすればいいの？」

「お前はこのままで良いんだよ。
と言うより、金髪が好きというのは誤報だ。」


いつも頭の回転が速い赤井さんだけど、今日に関してはマズイと思ったのか、その分さらに速い切り返しで返事をしてくる。


「俺はお前しか好きじゃない」

「…嫌じゃない？
だって普通みんな見てるんでしょ？
なのにそれを嫌って言うの、わたし彼女失格？」


そう言葉にするとさらに泣けてきた。