【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第55章 片想い
弓弦side
昨日の夜は眠れなかった。
これまで、女の子と遊ぶことは何度か合ったけれど、こんなに緊張しているのは初めてかもしれない。
11時に待ち合わせのはずが、30分も早く着いた。
服も髪型も、少し大人っぽくしてきたはずだ。
手元の腕時計を見ながら、行き交う人々の中にサラさんの姿を探した。
「早く来い…」
そもそもちゃんと来てくれるのか?!
と、半分不安な気持ちもありながら、ひたすらにサラさんが来るのを待った。
そして10時50分。
人混みの中にサラさんがこちらへ向かってくるのを見つけた。
すこし大きめの白いシャツにデニム、ヒールを合わせた大人っぽいコーディネートだ。
長い髪が風に揺れて、控えめに言って最高に綺麗だと思った。
ますます、自分の格好もいつもより大人っぽくしてきて良かったと思った。
ホッと胸をなでおろしながらサラさんに手を振ると、サラさんは俺に気づいて手を振り返しながらこちらに近づいてきた。
「ごめん。待った?はやいね」
「いえ。いま来たところです」
本当は30分前からいたくせして、とっさに今来たところだと嘘をついた。
必死だと思われたくなかったから。
「じゃあ、今日はよろしくね」
そう言って笑うサラさんは天使に見えた。
可愛すぎるし、綺麗だし、俺今日最後まで生きて帰れるかな。
「じゃあ、行きましょうか」
そう言って、俺たちは大型複合施設の中へと入っていった。
一瞬、手を繋ぎたいと思ったけれど、繋ごうとして拒否られるのが怖くて、結局俺はポケットに手を突っ込んで歩いたのだった。