第52章 Getaway Car 　☆

サラと電話を切って30分後
本気で教習所まで顔を見に行こうと部屋着を脱いで、紺のシャツに袖を通した時、俺のスマホが鳴った。


「え…」


見ると、画面に桜井サラの文字が表示されている。


「…もしもし？」


恐る恐る通話ボタンをタップすると


「あ！赤井さん！ごめんね、お待たせ」


サラの声が聞こえてきた。


「…お前、映画観るんじゃなかったのか？」

「うん。10分だけ観て、抜けてきちゃった。
怖いし、それに…」

「ん？」

「赤井さんともっと話したかったから」


あぁ…
もう、駄目だ。好き過ぎる。

やっぱり今すぐ会いに行きたい。


「サラ、お前外出れるか？」

「え…？ううん。外出は禁止だから…」

「そうか……今、部屋に1人か？」

「うん。ナナも映画観に行ってるから、あと2時間は電話できるよ？」


そう言うサラに、俺はたまらず本音を漏らす。


「サラ…抱きたい…」

「…ぅえっ！？抱…？！」


驚いて思わず声を上げたサラに、俺は至って冷静かつ本気でもう一度サラに言う。


「お前を抱きたい」

「え…と…帰ったら？」

「いま、すぐに」

「い、今？！む、無理だよ！
だって外出れないし、部屋に連れ込んだのバレたらわたし追い出されるよ？」


何言ってんの？と焦るサラをよそに、俺はサラに平然と言ってのける。


「…俺に、抱かれてるところ想像して、一人でしてくれ。
その声が聞きたい…」