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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第48章 カブトムシ ☆




ジンside


愛車の運転席から外を眺めながらタバコを蒸していると、ウォッカが助手席へ戻って来た。


「兄貴。このまましばらく日本に滞在するんですかい?」

「ああ。
…気になることがある」

「気になること?」


ウォッカのその問いには答えず、俺はフーッとタバコの煙を窓の外に吹いた。


ジェーンと同じ匂いがしたあの女
ただのオークションの参加者なのか…?
あの時、ドレスのスリットが揺れて一瞬、拳銃のホルダーのようなものが見えた気がした。


目を閉じて、ジェーンの肩を撃ち抜いたあの日を思い出す。


これまで多くの人間を撃ち殺して来た。
いちいち、その瞬間の相手の顔など覚えていない。

だがジェーンを撃った瞬間、あの女がいつも俺に言っていた言葉を思い出した。


「わたしを殺してくれる?」


お望み通りの結果になったというワケか。


そう思うと同時に、あの女を抱いたときの捨て犬のようにこちらを覗く瞳が頭から離れない。


俺はジェーンを抱いた後、部屋を出る直前、眠っているあの女の寝顔を一度眺めてから帰るのが癖だった。

真っ暗闇の世界で生きている癖に、あどけなくて無垢な寝顔を。

俺とジェーンはどこか似ていた。

非情で冷酷で、目的のためなら手段を選ばない。

似ていたはずなのに、ジェーンが最後に取った行動は闇への裏切りだった。



「アニキ…アニキ?!」

「…何だウォッカ。くどいな」

「いや…信号が青です」

「…フン」


いずれにせよ、ジェーンをもしまたこの目で見かけることがあったら、容赦無く引き金を引く。

今度こそ俺の手であいつを葬ってやる。


それが俺がジェーンにできる唯一だ。



必ずな。



Next Chapter...


また出て来そうな雰囲気を残しつつジン編初回終わりました…!
次は普通の日常回♡です


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