【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第48章 カブトムシ ☆
マスタングの助手席に乗り込み、改めて変装した自分の顔をバックミラーで見た。
「ほんとに別人…」
まじまじと自分の顔を見てるわたしを横目で見ながらハンドルを握る沖矢さんが言う。
「…そういえば、偽名はどうする?」
「あぁ。本名で大丈夫だよ。
組織にはわたしのコードネームしか知られていないはずだし」
「…そうか。あと、会場ではあくまでもオークション会場に来た金持ちの若夫婦という設定だから、ぬかるなよ」
「え!!沖矢さんの奥さんなの!?わたし!」
クールビューティーのキャラをすっかり忘れ、きゃっきゃと喜ぶわたしを沖矢さんがたしなめる。
「…コラ。真面目にやれ」
「なーに?沖矢さんだってさっきから全然沖矢さんじゃないじゃないー。」
そんな屁理屈を言うわたしに、沖矢さんはフッと笑ってわたしを見た。
「そうでしたね。
ちゃんと真面目にやってくださいよ?
僕の奥さん?」
「えっ!!?」
そんなこと、平然と言わないでよ…
かああっと顔を赤くして俯くと、沖矢さんは呆れたように言った。
「演じる気、ありますか?」
く…くやしい。
わたしだって、これまで何度もあらゆる男性にハニートラップ仕掛けて潜入したりしてたんだよ!?
そんなわたしの闘争心に火がつき、沖矢さんを挑発的に見ながら言った。
「そうね。足を引っ張らないように頑張るわ。
あなた?」
そう言うと今度は沖矢さんがかあっと顔を赤くして、口元に手を持っていって言う。
「…やめましょう。
不毛ですこのやり取り…」
「…そうね…」
そんなバカみたいなやり取りをしているうちに、車はオリエンタルホテルに到着した。