【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第45章 A Whole New World ☆
サラの身支度もすぐ終わった。
黒のTシャツワンピースに小ぶりのリュック、スニーカー、サラもキャップをかぶっている。
「へへ。お揃いだね」
そう言ってサラは俺を見て笑った。
可愛い…
俺は思わずサラの手を引いて、自分の唇を重ねた。
「ん…っ…?」
その拍子にかぶっていたサラのキャップがパサ…と後ろに落ち、サラの髪の匂いがした。
「どうしたの?」
唇を離すと、突然キスをされたサラは首を傾げて聞いてくる。
「いや、出発した後はできないから」
「?」
あぁ。どうせ行くなら2人で行きたかった…
はぁーーっと本日2度目のため息を早くも吐き、
「えー?どういうこと?」
と、何も分かってない様子のサラの手を引き、マスタングの助手席に座らせ、俺は車を発進させた。
サラは車内でずっとアラジンのA Whole New Worldを口ずさんでいる。
アラジン…
子供の頃の王子様って言ってたな。
王子様って…
かたや俺は王子様なんてガラじゃない。
どちらかと言うと、悪役のほうが近くないか?見た目も、考え方も。
空想上の人物であるアラジンに敵意の目を向けながらも、車はだんだん舞浜に近づいていく。
「あ。そう言えば、8時に誰と待ち合わせしてるの?」
「言ってなかったか?」
「聞いてないよ?2人で行くんじゃないんだ?」
「…俺の、弟だ」
「え!!?さ、3人でネズミーシー?!」
「いや、正確には俺の弟とその婚約者。
昨日電話で頼まれたんだよ。
母に会わせる前の予行演習させてくれって。」
「へ、へぇ…意外だね。
赤井さんがそれにOKだすなんて」
「まあ、お前を弟に会わせる良い機会だと思ってな。」
そう言って高速を降りた時にサラを見ると、サラは嬉しそうに笑って言う。
「似てる?赤井さんに。」
「…似てない」
そんな話をしているうちに、車はネズミーシーへと到着した。