第45章 A Whole New World ☆

どうにか他に断る口実をと頭の中で言葉を必死に探していると、秀吉はトドメの一撃を繰り出す。


「ボクも兄さんの彼女に会いたいしさ、兄さんも結婚する気あるなら、家族に会わせておいた方が彼女も安心するよ？」


確かに、俺が会わせることのできる家族…


父→行方不明
母→おそらく幼児化
妹→俺は死んだと思っているはず

秀吉しかいない…


「ね？来てくれるよね？」

「…………時間は何時だ」

「やったあー！さすが兄さん！
朝8時に入場ゲートの近くで待ち合わせね！
それじゃ」

「は？朝8時？！
そんなに早く……チッ切りやがった」


はぁーとデカいため息をついて今度はキャメルに電話をかける。


「はい。どうしました赤井さん」

「…キャメル。明日予定あるか？」

「いえ？ジョディさんと打ち合わせする以外は」

「…すまないが、灰原哀の警護を頼みたい。」

「了解しました！」


職権濫用だな。これじゃ。
すまんなキャメル…

心の中でそう思いながら電話を切り、あとはサラに伝えるのみ。とリビングに戻った。


しかし、万が一断られたらどうする？

そんなことを考えながらサラを見ると
サラは相変わらず酒を飲みながらテレビを見ている。

しかもタイムリーなことに、サラが見てるテレビ画面にはネズミーシーが映っている。

どうやら、特集番組らしい。


「へぇー。日本にもあるんだね。
ネズミーランド。
しかも海をテーマにしたパークもあるんだ」


これはチャンス。と、俺はサラの隣に座り、サラを試すように聞いてみる。


「行きたいのか？」


正直に、一緒に行こうと言えばいいのに、サラから行きたいと言う言葉を引き出そうとするあたり、少し卑怯か。

そしてサラは俺の期待を軽く裏切ってくる。