第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「何かの間違いよ、私はやってないの、アカイ…」
「……………」
アカイは無言でリビングから去って行った。
「(……ああもうっ……最後の最後で……)」
苛立ちが浮かび、前髪をくしゃりと握る。
「(完全に逃げ切れると思ったのに…!私は絶対に捕まりたくない…!)」
ギュッと掌を握りしめた。
「さぁ、裏工作を始めましょう」
裏工作【裏切りのアカイ】
「(まさかアンタも私を疑うなんて…。いいわ、あの男の目を欺いてやる…!)」
まずはアカイの姿を探すため、1階の和室へと向かった。
「(…なに、この臭い…)」
「…どうした?」
「(シラユキの遺体があったのね…)」
「…なにか見つかったか?」
アカイは私を見てニヤニヤ笑った。アカイに弱みはないかしら…。
「…そういえば、アカイはどこでシラユキのスマホを拾ったの?」
「今朝、アオキに頼まれてここにシラユキの遺体を運んできた時に落ちたんだよ」
アオキも余計なことを…
「…どうしてわざわざ移動させたの」
「ミドリにシラユキの部屋の荷物をまとめてもらってるからだ」
「そのためだけに…?」
「…お前、和室に入ったとき気付かなかったか?」
「あぁー…なんか臭いが…。やっぱりこの臭いって」
「初日から遺体を冷やして腐敗を遅らせてきたが、さすがに4日経つと臭いがな…」
「(鼻がおかしくなりそうだわ…)」
「それとキッチンからすぐ保冷剤を持ってこれるように、和室に移動させたんだ。…俺から出る情報はもうないぞ、さ、もう行けよ」
「(…他を当たってみようかしら。)」
アカイから有益な情報を引き出すことができず、和室を出た。するとトイレがまた開いている。
「だから誰よ…ちゃんと閉めてよね。……あれ?ライターが置いてあるわ」
まだ中身は残っているので火はつく。タバコを吸って誰かが置き忘れたのだろうか。何かに使えるため、ライターを拝借した。
「(シラユキの部屋も行ってみましょう。)」
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