第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
大学生活を満喫していたある日のこと。私は大学のサークル旅行に来ていた。参加したのは同じ映像製作サークルに所属しているメンバー7人。今日は山奥のコテージに2泊3日することになっている。
1日目は、移動やら部屋の割り振りやらであっという間に時間が過ぎていき…
その日の夜は、明日からの活動計画という名の、飲み会が開かれた。
「クロサキちゃん飲んでるー?」
「ええ。でも少し飲み過ぎたみたい。…風に当たって来るわね」
ワインが入ったグラスを持ち、私はひとり2階のバルコニーへ向かった。
◇◆◇
「はぁ…つまらないわ。何か面白いこと起きないかしら?」
フェンスに手をかけ、休んでいたときだ。
「クロサキさん?」
声がした方へ振り返ると、シラユキが立っていた。
「あらシラユキ。貴女も風に当たりに来たの?」
「ううん…そうじゃなくて」
「………?」
歯切れの悪い言い方に首を傾げると、シラユキは私の顔を見つめて───私の秘密を口にした。
「…やっぱり隠しておくべきじゃない」
「やめて!」
私は反射的にシラユキの腕を掴み
「…なっ──」
ドンッ
バルコニーから突き落とした。
階の下に重い落下音が響いて、私はようやく事の重さを知る。
「…シ、ラユキ…」
怖くて下を見れない。そこには倒れているシラユキがいる。そして恐らく彼女は…。
「…私、私は…」
その後の記憶は曖昧でよく覚えていない。多分、自分の部屋に戻ったのだと思う。
◇◆◇
───翌朝。
「…お、おい!!!!」
カナザワのウルサイ声で朝を迎えた。
「どうした朝っぱらから…」
「シラユキが…!!!!」
カナザワが向かった先は、コテージの裏側。
「…シラユキさ、ん…いや、いや、」
「…なに、これ…!!!ちょっと、だれか!!」
「お、落ち着け!!とにかく警察に電話して──」
ゆるみ切っていたそれまでの空気は一変し、互いが互いを見つめるようにその場から動けなくなった。
ちょうど2階のバルコニーから真下の位置、血染めのシラユキが倒れていた。
こんな状況だっていうのに、私は冷静にシラユキを見ていた。
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