第27章 6月6日 ホテル
彼女の狡さは臆病の裏返し。
その癖、他人には手を差し伸べる。
そんなものを見もせずに、低い自己評価で自分を縛る。
小夜子が蕩けてく。
薄目を開けた瞳で見詰めてきて、時々啄む様に口付けてくる。
小夜子が抗わなくなり、今度は熱く濡れた性器がまとわり付いて催促をしてくる様で。
避妊をしているせいで、動かすたびにグチュグチュと鳴ってるのは彼女の愛液だけ。
互いの体液まで混ざり合って、彼女の胎内に思い切り出して掻き回したい、それもまたただの本能か。
「…っぁ…ああっ、怜……怜治、あんっ」
「小夜、…いきそ」
愛してる、そんな陳腐な言葉じゃ足りない。
ぴったりと下半身を合わせたまま、ただ壊れる位に掻き抱く。
最後は隙間なく深く埋めて放った。
このまま醒めずに裸になった二人だけが残ればいいと、そう願った。