第25章 6月7日 社内
「下手したらセクハラ…でも、小島くんとか、これから何かが芽生えたりして?」
「でも、こういうフレキシブルな雰囲気、いいですよねぇ。 私も今井さんと掲載されたい!」
リクエストは受け付けてないのかな、と記事の隅を探す後輩の様子や武井のコメントが可笑しくて笑ってしまった。
確かに怜治って、興味無いものには無関心丸出しだ。
こういう風に物事がオープンになっていってくれれば、私みたいな境遇の人間も少しは楽になりそうなのだけど。
実際にそうなるにはまだまだ時間がかかるんだろうな。
『は? 武井さんと?』
……その前に、私もいつか怜治にそんな風に粗雑に扱われたりして?
「まだ始まったばかりなのに」
こんなの取り越し苦労もいいとこ。
幸せ過ぎるのは考えものだ。
だけど慎重な自分の性格は仕事においては役に立つ。
小夜子は背筋を伸ばしてPCに向き直った。