第17章 5月18日 社内、デパート
『週末はありがとう』
『おはよう、お母さんは大丈夫?』
『うん。 しばらくは外に出すの控えさせてる』
『そうしてあげて』
そこで指が止まった。
週末からこっち、どうもいつもみたいな小夜子との気軽なやり取りが思い付かない。
軽過ぎたら逆におかしな感じもする。
うろうろと指をさ迷わせてとうとう諦め、スマホをテーブルの上に置いた怜治はそれを恨めしそうに見詰めた。
「なんか進展あったんですね?」
「…………………」
「先週のデートで」
顔を上げるといつの間に来ていたのか。
武井が飄々とした表情でフリースペースのハイテーブル上に、怜治の向かい側で頬杖をついていた。
俺、彼女にそんな事言ってたっけ?
「勘です」
こわ。
なんだこの女。