第2章 不覚
怪我をした右腕でなんとか鬼の首を斬った私は蝶屋敷に戻る
意外と傷が深くて出血が止まらない
止血剤を持ってくるのを忘れてしまった
朝日が登り蝶屋敷までの道を一人歩くと前から人影が見えてくる
不死川さんだ
「なんだてめぇ怪我してんのか」
「はは、不覚にも」
右腕を押さえる手から血が流れる
「深けぇのか」
「意外と深いみたいで、止血剤持ってくるのを忘れてしまって」
「おまえどっか抜けてんだよなぁ」
そう言うと不死川さんは私を抱きかかえた
「え?え?」
「とろとろ歩いてると失血しちまうぜぇ」
不死川さんは私を抱えて素早く走る
「ちょちょちょ!速いって!」
「喋ると舌噛むぞ」
「〜っ!」
本当に噛みそうになったので口を結ぶ
そうこうしてると蝶屋敷についた
抱きかかえられたまま治療室に運ばれる
「あらあら不死川さん、にみずき?今日は合同任務ではなかったはずよね?」
「ばったり会ってそしたらそのまま運ばれました」
「こいつの怪我が深いみたいだぁ。見てやってくれ」
「まぁ!」
そう言うとしのぶさんは私の右腕を水で流して消毒した
縫うほどまでではないと包帯を巻かれた
不死川さんの顔をちらっと見るとさっきまで険しかった顔が少し穏やかになっていた
「ありがとうございます」
「みずき、今日の仕事は大丈夫ですから大人しくしていてね」
「、はい」
しのぶさんに言われて嫌とは言えない
実はしのぶさんは怒ると怖いのは知っている
「それじゃありがとうございました」
そう言って私と不死川さんは治療室から出た
「不死川さんはもう帰られるんですか?」
「あぁ」
それもそうだ、なにしろ任務を終えて今は早朝
眠いに決まってる
かく言う私も眠い
「それでは、おやすみなさい」
「じゃぁな」
不死川さんは片手を上げて蝶屋敷を後にした