第12章 弟
「炭治郎くんはよく上弦の鬼に出会ったのに五体満足で生きて帰ってこれるね」
私は炭治郎くんの包帯を替えていた
「いや〜」
「それにしてもこの子どうなってるの?」
鬼の禰󠄀豆子ちゃんは陽の光を浴びてもなんともないらしい
「どうなんでしょう。太陽を克服した、みたいなんですけど」
「人間に戻ろうとしているのか...鬼として進化しているのか...」
私たちは黙る
「よし!包帯取り替えたからまた休んでて」
「ありがとうございました!」
炭治郎くんはとてもいい子だ
そしてこちらは
「玄弥くん」
「...はい」
「調子はどう?」
不死川さんの弟の玄弥くん
彼は私のことが嫌いなのか目も合わせてくれない
「...大丈夫です」
「元気ないけど」
私が玄弥くんの額に手を当てると真っ赤になってのけぞった
「?大丈夫?」
「いやっ本当大丈夫ですから」
しのぶから聞いた
玄弥くんは鬼食いをしているらしい
それを不死川さんが聞いたらどうなるのか
恐ろしくて言えない
「玄弥くんは私が嫌いなのかな?」
「そんな!ことないです」
「どうして避けるの?」
「いや...それは...」
もごもごとする玄弥くん
「まぁいいわ。ゆっくり休むのよ」
ぽんぽんと頭を撫でてやればまた真っ赤になる玄弥くんを横目で見て私は部屋を出た
廊下を歩いてると前からしのぶがやってきた
今日は緊急の柱合会議で出掛けていたので帰ってきた所だろう
「おかえりなさい」
「ただいまみずき」
「柱合会議はどうだった?」
「...柱稽古をするそうよ」
「柱稽古って...柱の皆さんが直々に稽古をつけてくださるの!?」
「そうよ」
「しのぶもやるの?」
「...私は今回参加できません」
「それは?」
「やらねばならないことがあるの」
思い詰めた表情のしのぶが心配になった
「みずきも他の柱の方々から稽古をつけてもらうといいわ」
しのぶは私の肩に手を置いて部屋に戻って行った