第11章 捧げる
「ぃやっほぉぉい!」
任務から帰ってきた善逸くんが物凄いご機嫌で私の診察室へと入ってきた
擦り傷を負っていた
ちょんと消毒液をつければいつもなら悲鳴をあげる彼なのに今日はずっとニコニコしている
「善逸くんよく無事で帰ってきてくれたわね」
「そりゃ!みずきさんとお昼一緒にできるなら死んでもはってきますよ!」
「死んだらだめです」
さてと、と腰を上げる
「お昼、行きますか?」
「はぁい!」
私はいつもの蕎麦屋に善逸くんを連れて行った
「ここのお蕎麦とても美味しいのよ」
「楽しみです!」
ずっと笑顔の善逸くん
私は蕎麦を啜りながらその笑顔を見た
善逸くんはずっと話してくれる
私が入る隙がないほどにだ
善逸くんは私の手を両手で握る
「だから、俺運命だと思うんですよ!」
ははは、と引き攣りながら笑っていると背後に黒い影
「あ、善逸くん!」
「なんですか?」
「に、逃げて」
「え?」
禍々しいオーラを纏い不死川さんが善逸くんの背後に立っていたのだ
首を軋ませながら後ろに顔を向ける善逸くん
「風のおっさんんんんんんっ!?」
「おっさんって善逸くんっ」
「てめぇいい度胸だなぁ。人の女に手ぇだすたぁ」
「ひ、人の女!?」
善逸くんは私の顔を見る
申し訳なく私は笑った
「ひぃぃぃ!!」と言って善逸くんは逃げ出してしまった
残された私たち
不死川さんはどかっと善逸くんが座ってた場所に座った
「おめぇもきっちり約束守ってんじゃねぇよ」
「でも約束は守らなきゃ」
「なら俺との約束もしっかり守ってもらうぜぇ」
ニヤリとする不死川さん
私は思い出す
耳が熱い
「俺今夜任務あるからな」
「そうなんですか?」
「明日楽しみにしとくぜぇ」
「!?!?!?」
あああ明日!?