第10章 想う
私は仕事の合間に甘味処に寄ってみたり
不死川邸の近くを彷徨いてみたり
蝶屋敷の前を行ったり来たりしていた
「なにしてるの?」
「っ!しのぶ...っ」
私が不審な動きをしてるものだからしのぶが不思議そうにわたしを見ている
「な、なんでもないわ!」
「?」
私は急いで持ち場に戻る
私ったら何してるのかしら
不死川さんのこと探し回るようなことして
眠りから覚めない炭治郎くんの点滴を交換しながら私は悶々としていた
だめだめ仕事に差し支えるわ
「炭治郎...」
「カナヲ!」
カナヲが炭治郎くんの心配をして個室にやってきた
「カナヲは炭治郎くんが心配なのね」
いつもお花の水を取り替えてくれている
「...はい」
「大丈夫よ。呼吸も安定しているしもう時期目覚めるわ」
「よかった...」
カナヲはホッとしていた
私は取り替えを終え部屋を後にするとカナヲが代わりに炭治郎くんの世話をしてくれた
「カナヲも変わったわねぇ」
カナヲの変化に嬉しくなる
それも炭治郎くんのおかげみたいだし
治療器具を片付けているとノックもなしに扉が開かれる
「?」
私が振り向くとそこには不死川さんがいた
「不死川さん!?急にどうしたんですか?」
驚く私にお構いなしに診療室の椅子にどかっと座る
「怪我でもしたんですか?」
「いや」
「じゃぁどうしてここに」
ぽりぽりと頬を掻く不死川さん
「最近おまえの顔見てねぇなと思ってな」
「...!」
思わず頬が染まる
それに気付いて不死川さんも少しだけ頬を染めた
沈黙が続く
「お食事は?」
私が沈黙を破った
「まだだ」
「そしたらご一緒にいかがです?」
「あぁ」
不死川さんは嬉しそうに返事をした