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想い人

第8章 休息




しかし今は誰もいないようなのでその隙に入ることにする


「っはぁ〜気持ちぃ」

ちゃぷん と温泉の音が響く
私がゆっくり浸かっていると足音が聞こえてくる
すかさず大きな岩に身を隠し様子を伺うと不死川さんがやってきたのだ

「え、嘘!不死川さんもここに来てたの!?」

不死川さんは私が入ってるのに気付かず温泉に足をつける

ビクッと体が跳ねたことにより温泉に微かな波紋が広がったことに彼が気付かないわけがない

「誰だぁ」

低い声がする
恐る恐る顔だけ岩から出してみる

「っ、高重か!?」
「し不死川さんも、来てたんですね」

にへらと笑い恥ずかしさを誤魔化す
不死川さんは股間をタオルで隠す他は丸見えだ
鍛えられた身体
沢山の傷跡
それが今まで彼がどれだけの鬼を倒してきたかを物語っている

「あんまじろじろ見てんじゃねぇ」

仕方なく不死川さんも温泉につかる

「不死川さん傷また増えましたよね」
「... ...」
「あれだけ言ったのにまだ無茶な戦い方をしてるんですか」
「俺の勝手だろぉ」
「もぉっ」

ぷくぅと頬を膨らませていると話し声が近づいてくる

里の人たちが温泉に入りにきたのだ
まずい!
私は逃げ道が無くなってしまった

すると私の頭上から影が落ちてきた

「おや不死川様温泉は気持ちいですかね」
「ぁあ」
「ここの温泉は切傷にも効きますからね」

不死川さんは知らんふりして話を聞き流している
わいわいと喋り出す里の人たち

私は不死川さんの背中に隠されていた
ピタリとくっつく肌背中越しとはいえドキドキしてしまう  

彼は素知らぬ顔をしている
こんなにドキドキしてるの私だけなのかな

ちょんと指で不死川さんの脇腹を指す

ピクンと反応するのがわかった

(ばか!てめぇなにしてやがる)

小声で不死川さんが私に叱ってきた

長々と話す里の人たち
お願いだから早く出て行ってほしいっ!!
あーやばい
のぼせてきたみたい
クラクラする

里の人たちが漸く温泉から出て行った頃私は限界を迎えていた
ぴとりとくっつく肌不死川さんはびくんと跳ねる

「お、おい」
「...」
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