第4章 お誘い
私が蝶屋敷で診療をしていると突然冨岡さんがやってきた
「あら、冨岡さんどうしたんですか?」
「今日は誘いに来た」
「え?お誘い?」
はて、なんのだろう
と思っていると
「近くで縁日があっているらしい」
「なるほど」
縁日のお誘いのようだ
「俺と行かないか」
「私でいいんですか」
しのぶさんでもなく私?と指を自身に指す
「ああ」
「それじゃ準備をしてきます」
診療も今日は終わり
昼間から予定もなかった為冨岡さんのお誘いに乗ることにした
こんなこと不死川さんが知ったら激怒するかしら
「まぁいいか」
そう思い自室へ戻り浴衣に着替えて冨岡さんの待つ蝶屋敷前に向かった
「っ、」
「いきましょうか」
一瞬目を丸くした冨岡さんだったけど、何も言わない
縁日があっている神社では人が沢山いた
子供がかけまわる
綿飴を売る店
りんご飴が並ぶ店
金魚掬いをする子供たち
それぞれが賑わっていた
私たちもその賑やかさを楽しみながら少しだけ静かな手水舎の脇に腰掛けた
「今日は何故私を?」
「高重となら楽しいかと思ったがやはり楽しめた」
「それはよかったです」
微笑むが冨岡さんはいつだって無表情
感情が全然読み取れない
「子供の頃一度だけ姉と来たことがある」
「そうだったんですね」
私をお姉さんと重ねでもしたのかな...
冨岡さんは黙ったままだった
ワンッ
奥の方から犬の鳴き声が聞こえる
「おー少し待てやぁ」
男の人の声
「この声」
冨岡さんが口を開いた
2人で覗きに行けばそこには白い犬と不死川さんの姿があった
私たちに気づいた不死川さんは大層驚いていた
大きな目をこれでもかと見開く
「冨岡ぁてめぇなに見てやがる」
「不死川、なにをしている」
「あ"ぁん」
会話になっていない
「不死川さん私たちは縁日を楽しみに来ただけよ」
「おめぇと冨岡がぁ?」
「そうよ」
「ちょっとこいやぁ」
私は何故か不死川さんに腕を引かれる