第1章 回帰願望、愛に官能?
魅梨は裸の状態で徳爾にされるがままに寝台で寝転んでいた。カーテンに遮られた青い月光の余波が陰翳を青く沈ませている。鳩尾から腹にかけての平らかな肌を擽るような手付きで二本の指が歩いて、転がって、滑った。それから、下腹部の臍下辺りにTの字を描く。
「…君のここから、生まれたかったな。」
どうしたの、と問う魅梨に答えず徳爾はぐりぐりと柔らかな下っ腹に頭を擦り付けた。魅梨は上体を起こし、徳爾の髪を柔く柔く揺りかごでも揺らすような優しさで梳く。
「いいこ、いいこ、愛しい子。」
それが、己の言葉を真摯に受け止めて生み直そうとしてくれているのだと気づいた徳爾は目を見開いてから閉じ、睫の隙間から涙の粒をはらりはらりと溢した。