第5章 ※ 25章 決戦と喪失の後
こうも笑顔で誘われては杏寿郎としては酒よりもラムネに気持ちが大いに傾き、いっその事ラムネだけでいい気がしてくる。
「ああ!では乾杯はと一緒にラムネにするとしよう!さぁ、台所にラムネとグラスを取りに行くぞ!」
「はい!この日の為に飲みたい気持ちをグッと我慢していたので、一緒に飲めるのが嬉しいです!」
特に金に困っておらずラムネくらいならばが毎日飲んでも全く問題ないので、杏寿郎はことある事に勧めていたのに頑なに今日まで楽しみに取っておくとは買うことすらしなかった。
我慢に我慢を重ねて今日という日にようやく解禁し、喜びもひとしおなのだろう……満面の笑みで浮き足立って歩くに杏寿郎の表情は緩々である。
「相も変わらず君は愛らしいな!俺もずっとラムネを飲みたくなってしまう」
ぴょこぴょこと歩く度に跳ねる頭をポンポンと撫でると、は笑顔のまま杏寿郎を見上げて体にポフンと抱きついた。
「私は大歓迎です!でも天元君が寂しがってしまいますので、お酒に飽きた時に私のお相手をお願いします!」
今から天元一家が来ると言うのに満面の笑みを向けられながら抱きつかれては、杏寿郎の理性が遥か彼方へ飛ばされそうになる。
それをどうにか抑える為に決戦後に1ヶ月も眠り、更に華奢になってしまった体をギュッと抱き締め返した。