第3章 第4章 鍛錬と最終選別 243ページ付近
相談内容を隠すためと言えど杏寿郎に嘘をつくのが憚られたは、咄嗟に明日の朝の献立を口にした。
……不自然極まりない。
もちろん杏寿郎も突然の献立発表に首を傾げている。
「それは嬉しいが……珍しいな!夜に2人で話し込む姿を初めて見たので驚いたぞ!」
「朝餉のお話の前に兄上を捕まえられたのかお聞きしていたんです。無事に兄上から合格をいただけたとの事で、明日の朝餉は何の憂いもなく準備出来ます……とお話ししようとしてくれていたのではないでしょうか?その中で薩摩芋のお味噌汁が出てきたのかと」
嘘も付かずに見事にを守り切ってくれた。
千寿郎の優しさに薄ら涙を浮かべながら何度も頷き杏寿郎に視線を向け……顔が真っ赤になる。
納得した様子の杏寿郎が再び首を傾げた。
「なるほど!しかし顔が赤いな!逆上せてしまったのか?」
心配げに顔を覗き込まれの心臓は胸を突き破らんばかりに、息苦しさを感じるほど激しく胸を打つ。
「い、いえ!あ……そうかもしれません。お部屋で少し涼もうと思います!えっと……杏寿郎さんもお茶を飲まれますか?湯呑みを……」