第13章 あかり
杏寿郎がの背を撫で労り感謝を伝えている所へ、産湯で赤子を……朱莉を清めていた産婆が産着に包んでそっと2人の目の前に運んできた。
「若様、奥様、胸に抱いてあげてください。産着をすぐに脱ごうとしてしまうくらい元気ですので、しっかりですよ」
既に泣き止んでいる朱莉は産婆の言葉通り手足を元気に動かし、今にもその腕から飛び出してしまいそうである。
産婆の言葉に頷いた2人はゆっくりと朱莉に腕をのばし、壊れないようにそっと……そしてしっかりと抱きとめた。
「温かい。本当に生まれてくれたのだな」
「温かいですね。朱莉ちゃん、聞こえていますか?お父さんとお母さんですよ。ずっとこうして貴女を胸に抱ける日を待ち望んでいました」
朱莉に語りかけ涙を流すの額に杏寿郎は口付けを落とし、2人を包み込むように優しく抱きすくめる。
「きっと聞こえている。ほら、心做しか笑っているように見えるぞ?髪や顔付きはにそっくりだ!」
「はい!よく笑う子に育ってくれるといいですね!あ!目が開きました!瞳の色は私の大好きな杏寿郎君の色です!可愛い」
しっかり2人の遺伝子を受け継いだ朱莉の頬を杏寿郎が人差し指でぷにぷにとつついてみると、こそばゆいのか身動ぎした後にその指を小さな小さな手で握り締めた。