第3章 第4章 鍛錬と最終選別 243ページ付近
入る予定になかった風呂に杏寿郎を捕まえるために突撃し、びしょ濡れになってしまった浴衣をこっそり庭に干した。
風呂に1人残されてからというものの、トンデモ少女のはずっと火照り熱を持ち続けた体と、何度深呼吸しようとおさまる気配を見せない鼓動に戸惑いを覚えていた。
「何でしょうか?両親のことを想った時とは違うと言いますか……男性に体を寄せられた事が杏寿郎さん以外今までなかったので比べようは無いですが。心がポカポカしてドキドキします」
あの屋敷では基本的に忌み子として扱われていたので、好き好んでに近付いてくる者はいなかった。
唯一人として優しく接してくれた男性とは話しなどしていたものの、もちろん抱き締められたり頭を撫でてくれることはなかった。
「杏寿郎さんにご相談……するのも可笑しいですよね。となりますと、千寿郎さん?うん、千寿郎さんなら相談に乗ってくださいそうです!まだ夜も遅くないですし……お部屋を訪ねてみましょう!」
可哀想な千寿郎。
杏寿郎とが互いに好き合っている事を知っていて敢えてそっと見守っているのに、まさかその一方……しかも兄ではなくから相談されるなど夢にも思ってないだろう。