第11章 お披露目
温泉旅行から帰ってきて次の日から土産渡し巡業旅行が始まった。
2泊3日という強行旅行の中で互いの家族、柱や継子を含め鬼殺隊で親しくしていた人たちのもとを忙しなく巡ったのだが、家族の次に行った宇髄邸で2人はなかなか解放されなかった。
と言うのも天元が初詣で聞きそびれてしまった夜の営み事情を杏寿郎から聞き出すため、を嫁たちに預けて外出させてしまったからである。
「結局したって事しか話してくれなかったよなぁ。どんな感じだったかくらい教えてくれてもよくね?」
「まだ気になっていたのか?!俺が言うわけないだろう。あの子の恥ずかしがる表情と夜の表情を知れるのは俺だけの特権だからな!愛らしいとだけ言っておく!」
そして現在。
お館様のお屋敷のとある一室で再び杏寿郎は好奇心旺盛な天元に同じ質問を繰り返されていた。
その返答は宇髄邸で答えたものと同じものである。
「お前は姫さんのこと常に愛らしいって言ってるじゃねぇか!そんなの何の答えにもなってねぇよ!」
こちらの返答も同じ。
だが杏寿郎はそんなことを気にも止めず笑顔のまま着々と着替えを進めている。
「愛らしいのだから仕方ないだろう!それより宇髄、早く着替えなくては演武に間に合わんぞ?確か嫌がる我妻少年の意見を聞かず1番に舞うことを希望したのではなかったか?」