第10章 ※湯けむり旅情
「すみま……せん!んっ、悩んでいては進まないと思い……はぁっ、んぅ……勢いが」
恥ずかしがりな自身の性格を理解しているからこそ、勢いに任せて秘部へとモノを半分ほど入れてしまったらしい。
自分への突然の強い快楽に戸惑いながら、杏寿郎の眉が寄ってしまったのは痛みからか快楽からか判断がつかずそのままの体勢で静止してしまった。
杏寿郎を見つめる瞳には涙が浮かび、まるで謝罪するかのように手を伸ばして額を撫でている。
「謝る必要などない……んっ、欲を吐き出しそうになっただけだ。続けられそうか?」
自分の額を撫でる手をキュッと握ってやると安心したように笑みを浮かべ、ふわりと微笑んで頷いた。
「よかった……もう、少しなので……」
握ってくれた手を握り返して杏寿郎の胸元まで下げ、今度はゆっくりと浮かせていた体を沈めていく。
その間もの体は小さく跳ね、自らの動きでもたらされる刺激に耐えるように声を漏らしている。
(何とも……唆られるな)
自分で与えている刺激で依がるの姿は杏寿郎の欲を昂らせ、もっと依がらせたいと思ってしまう。
気を抜きタガを外せばその欲は満たされるが、が恥ずかしさをおしてまでこうして動いてくれた気持ちを蔑ろになど出来ず、理性を必死に保ちゆっくりと確実に与えられる快楽に身を任せた。