第10章 ※湯けむり旅情
(相変わらず無意識に煽ってくれる……さて、どうしたものか)
自分の腕の中にいるは耳元に与えられている刺激で体を震わせ、絶えず小さく嬌声を漏らしている。
先ほどまで浴衣を脱ぐことにすら恥じらいを見せていたのに、今は自分が与えている快楽を受け入れ座ったまま太腿を擦り合わせ、溢れ出ているであろう欲をどうにかしようとしているように見える。
その様子が杏寿郎の加虐心を掻き立て、気が付けばを布団の上に組み敷き片手で腰巻きを解きにかかっていた。
「寂しがる必要はない。何も考えず感じていてくれ」
僅かに開いているの唇に自らのを合わせて舌をねじ込み、驚き固まっていた舌に絡めて吸い上げる。
粘度のある水音と共にの声が杏寿郎の鼓膜を刺激し、思わず頬が緩んだ。
唇を離して柘榴石のような瞳を見つめると、期待した通りとろんと瞼が落ち涙で滲んでいた。
「これだけでそんな顔をしていたら、本当には狂ってしまうかもしれんな」
「……どうしようもなく心地好くて……え、杏寿郎君、どこに?!ぁあっ!や、待って……んぅ、何を」
頬を撫でてくれたと思いきや杏寿郎の姿はの視界から消え去ってしまい、それからくる寂しさを感じる間もなく秘部に強い刺激が与えられた。