第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
ワラワラとと杏寿郎、お狐様の周りに集まった柱たちは天元に指名された蜜璃を見つめ無言で頬に触れるよう促している。
「えぇ……こんなに気持ちよさそうなのに可哀想ですよ……言い出しっぺの宇髄さんがして下さいよー!」
本当につまらない事で押し付け合いが始まり、が起きてしまうのではないかと思うほどに騒がしい。
「ふむ……ならば俺が直々に」
「ちょっと待て!それなら俺がする!姫さん、起きないでくれよ」
杏寿郎が頬に触れようとした手を制し、意を決さなくてもいいのに天元は意を決しての頬にそっと触れる……と杏寿郎の言った通り、温かさを求めるように天元の手に頬を擦り寄せた。
「ん……もう少し……」
本当に眠いらしい。
起きる気配が全くなく、天元の手に頬を擦り寄せたまま眉を下げて身動ぎだけした。
「いやいや、この破壊力は俺でも危うかったぜ……これは派手にまずい」
恐る恐る先ほどまで気落ちしていた実弥へ視線を向けると、なんとコチラを見ないようにそっぽを向いている。
自身の中で区切りを付けると決めたので、興味を引かれたとしても断固として見ないと決めたようだ。
それに気付いた杏寿郎は天元の手をペイと外し、お狐様をゆっくりのお腹の上に置き床によこたえさせてやった。