第9章 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
「……おはぎ」
以前祝勝会前に甘味処で実弥が食べていたことを覚えていたようだ。
初詣におはぎを贈られた実弥はどう反応したらいいのか困り義勇を横目で確認すると……すごく期待のこもったキラキラした瞳で見つめられていた。
「……」
「…………」
無言の応酬が繰り広げる2人になぜか嬉しそうに頷く杏寿郎の横から、ピョコとが顔を出した。
「杏寿郎君はお酒をいただいたのですね!私はしのぶさんに金平糖をいただいたんですよ!実弥お兄さんもおはぎでしたか!フフッ、好きな物を贈っていただけるのはすごく嬉しいですね」
早速しのぶからもらった金平糖を口に含みながらふわりと笑うにつられ、元々笑顔だった杏寿郎はもちろん実弥も僅かであるが笑みを浮かべた。
「そうだな……冨岡、後で食わせてもらう。その……あんがとよ」
実弥の小さな礼の言葉に義勇の顔が……存在自体がキラキラと嬉しそうに輝き、本当に嬉しいのだろうと誰しもに伝わる。
「よかったではないか!冨岡も笑顔で……」
ポフンッ
杏寿郎が冨岡の肩を叩こうとした瞬間、隣りにいるの方からなんとも珍妙な音が聞こえ反射的にそちらを慌てて見ると、の顔面をモフモフな何かが覆っていた。