第2章 第2章 鍛錬と最終選別 145ページ
桜の季節も通り過ぎたある日の夜、杏寿郎が警邏へと繰り出して暫く経った頃、と千寿郎は和やかにお茶を飲んでいた。
「さん、明後日は何の日かご存じですか?」
突然の質問には目を丸くしながらも、何かあったかと首を傾げ考える……がやはり何も思い浮かばない。
「明後日……すみません。何も思い浮かばなくて……何かございましたか?」
困ったように眉を下げるに千寿郎は慌てて首を左右に振った。
「こちらこそ紛らわしい言い方をしてごめんなさい!さんが忘れられてたとかではなく……明後日は兄上のお誕生日なのですよ!よろしければ一緒にお祝いしませんか?」
なんとも目出度い催しにの頬は紅潮し、瞳がキラキラと輝き出した。
「わぁ!それは素敵な日ですね!ぜひ私も一緒にお祝いさせて下さい!あ……でも、私贈り物を用意するお金が……」
残念なことにはお金が無い。
言い方は悪いが弟子として面倒を見てもらっているので、所謂居候という身分だ。
あの屋敷で着の身着のまま保護され、そのまま煉獄家へと連れて来てもらい今に至るので基本的に無一文である。