第8章 第26章 月と太陽(1874~1878ページ)
「鬼殺隊剣士だけなのでそこまで気に病む必要はないのではないか?」
「いけません!杏寿郎君に育てていただいた者として、きちんと舞わなくては恥をかかせてしまいます!それに杏寿郎君と舞うのに……ご迷惑は掛けられません」
危うく力が入り手紙を握り潰しそうになるのを慌てて止め、綺麗に折りたたんで封筒に戻した。
「俺のことは気にしなくて構わない!しかしがそこまでやる気に満ちているならば、共に練習をすれば憂いは晴れるぞ!道場での稽古の合間や朝晩共に演武の練習をしよう。君の場合、技は今も問題なく放てるので舞を集中的にな」
杏寿郎の優しい言葉にしょぼくれていたの顔に笑顔が戻った。
優しい……と言っても道場での指導に加え舞の練習が追加されるので、普通の人からすれば喜ばしい状況ではない。
「ありがとうございます!ぜひよろしくお願いいたします!……あの、よろしければ歌を歌ってみてもらえませんか?ご希望とあれば私も歌いますので」
「歌を?それは構わないが……では甘露寺がたまに口ずさんでいた歌にするか。きっとも聞いたことがあると思うぞ」
突然のの願いを拒否することなく笑顔で受け入れた杏寿郎は、1度の頭を撫でて息を吸い込んだ。