第7章 ※ 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
頭蓋に関して返事はなかったものの、の性格を考えると相手が死に至るような体術を使うなど考えられないので、そこは気にせず杏寿郎も帯に裾を挟み込んで臨戦態勢を整えた。
わらわらとそこかしこから出てきた男たちは酒に酔っているのか……顔は赤らんでおり大きな声で思い思いのことを好き勝手叫んでいる。
まぁ……説明もいらないほど在り来りな言葉だ。
要約するとをここに置いて杏寿郎にはさっさとご退場願いたいというものである。
「走っていて気付かなかったのか?俺の妻は君たちなどと比べ物にならんくらい強い。君たちより遥かに強いぞ」
挑発ではなく事実を述べただけだが、男たちからすればただの挑発に過ぎなかったようだ。
目の前の少女が強いなど、見た目では全く信じられないから。
『舐めんじゃねぇーー!』
おそらく男たちの親玉的存在と思われる輩が声を上げ拳を振り上げた直後、最終的に集まってきた7人が……主にを捕らえようと動き出した。
「こちらこそ格下に見られている状況に怒りたい気分……です!」
は基本的に杏寿郎に育てられた。
しかし天元を始めとして柱稽古ではしのぶを除く全員に厳しく育てられたのだ。
実弥の屋敷での稽古に至ってはここにいる男たちより強い剣士たち複数相手に立ち回り、最終的にそれを乗り越えて合格を貰った。
一般の……しかも酒に酔った男たちがたった数人襲ってきたところで、何の脅威にもなり得ない。