第1章 ※月夜の軌跡 9章
「余裕などありません!ただちょっとどんな表情をされるのかなと……ひぅっ!」
ヌルヌルとしていて不快だった場所に杏寿郎の指が滑り込むと、不快感は一気に吹き飛ばされ、言い表しようのない全身が泡立つような感覚に襲われた。
「あっ……ん、や……だ。体……おかしく……」
杏寿郎がのしっとり濡れそぼった秘部をゆっくり前後に動かすと、その動きに合わせて体が反応し、奥から蜜がじわじわと溢れ出してくる。
初めて味わう感覚からかの瞳からポロポロと涙が零れ、赤く染まった頬を伝う。
その様子が官能的で、杏寿郎の欲情をとどめることなく高めていった。
「おかしくなってくれ…… の乱れた姿が見たい」
涙で濡れる瞳に口付けを落とし、秘部に触れていない方の手を柔らかな膨らみに沈みこませて軽く指を動かすと、なんとも甘美な声がの口から漏れた。
「あぁっ!んぁ……頭が……ふわふわするの……や、ぁ」
赤く染まる頬、涙で濡れた瞳、汗ばむほど上がった体温。
どれも日常でがよく見せる姿だが、今のそれはいつものものとは違い、杏寿郎の脳に麻酔を打ったかのように痺れさせ、どうしようもなく浮かされて、もっと先が見たいという感情で満たしていく。