第7章 ※ 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
それを拒否する素振りなど全くなく杏寿郎は目の前の金平糖をの指ごと唇で食み、反応を伺うように柘榴石のような瞳を見つめる。
するとやはり顔を真っ赤にして……先ほどの笑顔のまま固まっていた。
ずっと変わらずすぐに恥ずかしがるに小さく笑いを零し、口元で動きを止めている手を握りしめる。
「俺の願い通り君は変わらないでいてくれてるな!しかしそれ以上赤くなられては隠して歩かなくてはならなくなるぞ?」
「こ、ここでですか?!それは……少し恥ずかしいのでちょっとお待ち下さい!」
最近覚えた手で扇ぐという方法で赤みをおさめようとするも、片手は金平糖、もう片方の手は杏寿郎に握られているのでそれすら叶わない。
どうしようかと困った表情で自分の左右の手を交互に見遣り、どうしようもないと察すると杏寿郎に縋るかのように見上げた。
「ふむ……今日は仕方ないので諦めるとするか。もう暗くなりかけている、花火を見る場所を確保するついでに歩いての熱を冷まそう。あと少しで花火が見れるぞ!」
食べ歩きに夢中にらなっていて気が付かなかったのだろう、は空を見上げて驚き僅かに目を見開いた。
「本当ですね!杏寿郎君!食べ物や飲み物を買っていきましょう!待っている間にもう少し食べたいです!」
数ヶ月前までは恐怖の対象だった夜に今は喜ぶの手を引き、杏寿郎は笑顔で頷いて小さな願いを叶えるために人混みの中を歩いていった。