第7章 ※ 第25章 決戦と喪失 1812~1813ページ
「そんな心配は無用だと思いますが……もしも何かあれば対処致します!油断せず常に全力で!背負投げも踵落としも厭わない心積りですので」
物騒な言葉にたまたま周りに居合わせた人々が目を見開きを凝視した後、関わってなるものかと言うようにいそいそと視線を逸らして足早にはけていった。
「……私、口を閉じていた方がいいでしょうか?」
それを目にしたは眉をハの字にし、杏寿郎の腕に体を寄せて小さく縮こまってしまった。
先ほどまでなら今のの小さな呟きは辺りの喧騒によって掻き消えていただろう。
しかし今は2人を避けるように人が周りにいないので耳を傾けなくても杏寿郎の耳にしっかり届いた。
「口を閉じていては俺がつまらないだろう!心配しなくてもすぐに人集りに飲まれる!好きなことを話して、君はいつも通りの明るい笑顔でいてくれ」
そう言って杏寿郎はの手に握られている金平糖の入った袋に手を突っ込み、1粒指でつまみ出す。
「」
「はいっ……むぐっ!フフッ甘くて美味しいです。杏寿郎君もあーんして下さい!」
返事と共に口に放り込まれた金平糖の甘さにの顔は綻び、杏寿郎と同じように1粒つまんで口の前に持っていった。