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月夜の欠片

第6章 第26章 月と太陽 1873ページより


そうしてそんな門下生と天元を居間へ通し、と杏寿郎は台所で湯を沸かしたり菓子の準備に勤しんでいる。

「金平糖と芋けんぴか!どちらも茶によく合うな!特に芋けんぴが楽しみだ!」

人数分の小皿に盛り付けられた菓子……芋けんぴに爛々と目を輝かせる杏寿郎に笑顔を向けたは湯がまだ沸かないのを確認し、袋にゴソゴソと手を入れて芋けんぴを1本取り出し、杏寿郎の元へ歩み寄った。

「杏寿郎君、特別に皆さんより先に1本どうぞ。私を癒してくださったお礼です」

そっと口元に差し出された芋けんぴに目を輝かせ、杏寿郎は迷うことなく手ずからパクリと口に頬張る。
そんな子供のような可愛らしい杏寿郎の仕草がの母性をくすぐり、頬を薄紅色に染めて身悶えてしまった。

「む?君だけ見悶えるのはずるいな!君には俺の分の金平糖をやろう!ほら、あーんしなさい!」

ズイと差し出され、子供の時に親に言われたような言葉を紡ぐ杏寿郎に押されて、思わず反射的に口を開けて金平糖をパクリ。

「……金平糖美味しいです!甘い……んぅ?!」

が機嫌良く口の中で金平糖を転がしていると、突然杏寿郎の顔が近付き深く口付けを落とされて舌を絡められた。
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