第1章 ※月夜の軌跡 9章
それに加え自分とは違い欲情しているのだと視覚的に分かるモノが目の前にあるのだ、自分の腰巻きよりもそちらへと意識が集中してしまう。
「そちらばかりに気を取られているから、上ががら空きになってしまっているぞ」
その声に反応した時には既に杏寿郎の顔は首筋に埋められ手は柔らかな膨らみに届いており、感触を確かめるように指がフワフワと動かされていた。
「ぁ……んっ!待って……」
「大丈夫だ、すごく愛らしい」
耳元で囁かれた声は直にの鼓膜を震わせ、脳までにも刺激を与えた。
先ほどまで呑気にしていた自分が嘘だったかのように、体が反応して思考能力が奪われていく。
「そ……んな、あっ!やぁ……恥ずかし……」
「恥ずかしい気持ちもすぐになくなる」
恥ずかしがり身をよじる姿は杏寿郎から自制心のタガを外し、視界に入っている首筋へと唇を落とし舌を這わせた。
それが鎖骨、胸元へと降りていくたび、の体が反応しくぐもっていた嬌声が明瞭となっていく。
「の愛らしい声をもっと聞かせてくれ」
甘い声が聞きたく、ふっくらと膨らんだ頂を摘むと、今まで以上に体が跳ねて声が一段と大きく部屋に響いた。