第2章 このまま【世良真純】
ボクには可愛い幼馴染がいる。
「世良ちゃん、今日園子の家で一緒にテスト勉強するんだけど来ない?」
「パパがシェラトン東都のパティシエからもらった、
超美味しいケーキがあるの!食べながら勉強しましょ!」
ボクが帝丹高校に転入してから蘭君と園子君と過ごすことが多くなった。
まぁ、あの少年に近づくためでもあるんだけどね。
彼女らの提案はとても魅力的ではあったが…
「ごめん、今日は先約があるんだ」
「え~、世良ちゃんに英語教えてもらおうと思ってたのに~」
「分かった!あの幼馴染の子でしょ」
「あぁ、まぁね…」
そんなことを話していると廊下の方から
透明なビー玉をコロコロと転がすような
涼しげで透き通った声が聞こえてきた。
「真純ちゃん!一緒に帰ろ!」
右手をぶんぶんと大きく振って教室のドアから顔を出す。
どうして君はそんなに可愛いんだ?
「今行く!…そういうわけで、蘭君園子君また明日な!」
カバンを持ってルナの元へ駆け寄ると
さっきまであんなに可愛らしい笑顔だったのに
急に曇り空になった。