第2章 協力してね、相澤さん
私は人の精液を摂取して
能力を使う個性が発現した
それはとても厄介で、何日も摂取しなければ最悪死に至る
幸いこの容姿から今まで相手に困ることは無かった
だけど今…
私は死の危機に直面していた
「あの……大丈夫ですか」
路上で行き倒れていると、一人の男性が声をかけてきた
黒い服に黒い髪、なんだかもさっとした印象
声をかけてきたくせになんだか面倒くさそう
少し前に彼氏と別れてしまった私は、タイミング良く摂取先が見つからず限界に達していた
「あの………あなたの…精液…分けて貰えませんか……」
かすれる声でそう言うと
その人は私に背中を向けて去ろうとする
「まって!!!違うんです!!こういう個性で…ほんとに死んじゃうかもしれないの!!」
去ろうとする背中に精一杯そう叫ぶと
その人は戻ってきてくれた
「話は聞きます…」
そう言って私に手を差し出した
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「んっ……んうっ…はぁっ、」
久しぶりにありついたご馳走は凄く美味しかった
「やっ…ば……もう出ますよ」
そう言うとその人は私の頭を抑えた
ああお腹がすいた
早く飲みたい。早く出して欲しい
そう思い舌で一生懸命それを刺激する
「あっ…くっ……」
気持ちよさそうな声を出してその人はイってしまった
口の中に白い液体が沢山溢れ出てくる
(こんなに出てくるなんて、この人全然してなかったんだわ)
そう考え、口の中のそれを飲み干すと
私のお腹は膨れていった
ああ美味しい……
久しぶりのご馳走だからか、何倍も美味しく感じる
余韻に浸っているとその人は私に話しかける
相澤消太と名乗るその人は、
最初の印象よりも随分誠実な人だった
「精液で栄養摂取になるなんて…今までどうやって生きてきたんですか」
「まあ…基本彼氏に協力してもらってましたよ…でも今回はうまく次が見つからなくて…限界まで頑張ってたら倒れてしまいました…」
そういうと彼はやれやれという顔をする。
力が抜け、意識が朦朧としていた私は
この人の家に連れてきてもらい、簡単な説明だけしてこの行為をしてもらった。
「引かないんですか」
そう言うと彼は頭を掻いて
「まあ、仕事柄…色んな個性のやつを見たことがあるので…」
そこまで言って黙ってしまった