第13章 この感情に名前を付けるなら…(宗さに)※R18裏
「僕を連れて行かない理由は何なんですか?」
『だから理由なんてないって言ってるでしょ?しつこいな…』
「それなら何で僕に隠れて、こそこそするんですか? 気にするなって言う方がおかしいですよね?」
『…もう宗三には関係ないって言ってるでしょ!?』
「そうやってはぐらかして…貴方のそういうところが嫌なんですよ」
「大将、そのへんにしといたらどうだ?」
「宗三兄さま…あるじさま、喧嘩は嫌です…」
『この話題はおしまい、解散… 出陣の準備を』
「分かりました…」
その場をピリピリとした空気が張り詰める。
空気を察した薬研と小夜が、審神者と宗三を宥めると…審神者の一言で幕が切れる。
納得などしていないだが…いい大人が周りに心配などかけたくない。
僕が呼ばれるのを嫌がってもいつも宗三、宗三って言って振り回す癖に今回はなんで僕じゃないんですか… 理由を聞いても答えてくれないですし…貴方の隣に居るのが迷惑なんでしょうかね…?
そんな事を考えながら出陣する宗三に、時間遡行軍が待ってくれる訳もなく…部隊に必要以上に襲いかかってくる。
いつも何気なく交わしてる攻撃を避けきれない宗三をみる事になるとは…その場にいる皆が思わなかった。
「宗三兄さま!?」
「僕は大丈夫です…矢が擦っただけですから…」
………コレデ、イイ フツカゴ タップリ クルシ メバ………
(……敵の意識が勝手に流れ込んできてます?)
……タシャニ イウベカラズ、 ソノバアイ マワリモ マキコムダロウ……
「僕に触れられると思いましたか?」
(唯の戯言ですよね…?)
宗三はこの言葉を身に以て知る事になるとは…誰も知らなかった。 その矢が…"媚薬"だった事を除いては。
***
『おかえりー 宗三、怪我してる…?手入れ部屋』
「大したことないですよ…」
『そう言う訳にはいかないから…来て』
審神者は宗三の言う事を半ば無視して、手入れ部屋へ連れて行く。
(あまり二人きりになりたくないのに…こうも間が悪いというか…)
「暫く一人にして貰ってもいいですか?」
『なんで??』
「理由を話せないのは…お互い様じゃないんですか?」
『分かった…』
(苛々する…貴方がそういう性格なのは知ってるんですが…なんで、僕じゃないのですか…?)