第12章 ○○しないと出れない部屋(鳴さに)※R18裏
香澄の本丸に初期鍛刀の粟田口で一番の古株にあたる近侍の薬研は、出れない部屋から帰った後の香澄が塞ぎこむようになった様子を心配したが、本人が口にするまで黙って居ようと他の刀剣男士に、お達しを出すほど信頼関係を築いていた。
その日から鳴狐を顕現しようと頑張っていた日課の鍛刀を諦めるほど…"今の状態で鳴狐を顕現出来ても鳴狐を迎え入れる事"は出来ない事に気がついたからだ。
『私ね、鳴狐さんに恋をしちゃったんです…
会いたいってずっと思ってた人に、演練で会えた事が嬉しくて…近づいてしまったんです。
こんな気持ちになるなら会わない方が…』
「大将…俺たち刀剣男士の縁は深いもんなんだぜ?
客人が来てる、行こう…」
薬研と共に客間へと向かう…。
そこには演練に会えなかった…もう二度と会えないと思った鳴狐の姿が…他本丸の審神者、近侍である加州も一緒に居る。
「本日はお話が合って参りました。NO.1170328の審神者です」
『えっえっ??…あの
(…夢でも見てるの…鳴狐が私の目の前に…)』
「突然驚かせてしまってごめんなさい…
鳴狐が突然刀解してくれと申し出があり、私は拒否しました。
刀剣男士を失う訳にはいかないと…」
その場で香澄は土下座して、審神者に深く頭を下げると…
『私の…せいなんです、鳴狐さんは悪くないんです…』
「理由が知りたいと…鳴狐に問い質すと"どうしても貴方と一緒に居たい…この本丸から出て行く"と言われたのです」
『うそ…??』
「鳴狐がこんなにも自分の意見をはっきり言う事が初めてで、驚きましたが双方の意思の確認がしたくて、断りもなく…来た次第です…」
『私も鳴狐さんと一緒に居たいです、…お許し願いますか?』
「どうか鳴狐を大事にして下さい」
『……はい、貴方の好意を無駄にはしません…』
審神者は快諾し、自分の刀剣男士である印の腕輪を外して鳴狐を手放す決意をする。
審神者と加州を見送り終えると、
いつの間にか付いて来ていたお供の狐も薬研の姿はそこにはなく、鳴狐と香澄だけで見つめあい…互いを抱きしめると
「守りたい、…支えさせて」
『はい…私の鳴狐…ずっと離さないで…』
…完…