第30章 いつだって突然、恋に落ちるのは(後家さに)
これから私はこの先ずっと同じ学舎で仲の良い友人と楽しむだけの人生じゃなく
新しい環境で私の事を誰も知らない、知り合いも友人も居ない学舎で色んな事に挑戦をしたかったから
自分でパンフレットを取り寄せて調べた隣の県にある同じ中学からは誰も来ない高校を一人で受験して合格を勝ち取り新たなレールに飛び乗った。
世間が言う高校デビューに興味はなかったけど、ただ電車通学に憧れたから自宅から通える距離の少し遠くの高校を選んだ。
入学式当日の朝
いつもより早く目が覚めて予定よりも早い電車に揺られながら高校へ向かった
目当ては通学路に川の土手沿いに桜の並木道があるから桜を見ながらゆっくり歩いて時間を潰すつもりで来た。
風に揺れる桜の木が散った花びらが川に舞い落ちて沢山の花びらが集まると川と並木道に2つの桜の絨毯が完成していた
香澄は鞄からスマートフォンを取り出しカメラモードをたち上げ桜の絨毯を撮っていく
次々とシャッターを押しながら色んな角度にスマートフォンを向けてる
桜の花びらのアップ、桜の並木の全体のアングル、桜の幹の部分のアップ
一通り撮り終えるとフォルダーを開いて確認をしてる最中でも桜の木から次々と舞い散ってヒラヒラと落ちてきた一つの桜の花びらを掌にのせた。
人通りも気にしなくてもいい時間だから沢山撮っちゃったけど大満足
つい自画自賛してしまう
小さくても頑張ってる桜の懸命な姿が好き
綺麗なピンク色が好き
木陰になってる桜の幹の根元に赤い塊が写りこんでいて、写真を撮った方向に目を向けると赤い髪の毛が見えて"人である事"が分かった。
こんなところに人がなんで??