第1章 春の悪戯(くりさに)
『ひぃい…大倶利さん!? …怒ってますか?』
「怒ってない… ただ…訳が知りたくてな」
『あの…お天気も良いですし、お出かけしたいと思ったんです…服装も前々から決めてたんです…』
桜色のワンピースを着た香澄を見て、出掛ける準備をしていた事が伺えた。
「…体調が悪そうな感じじゃないな…?」
香澄に歩みを進めて、確認しようとするが…
『…あっ…あまり近づかないで下さいっ! 私、花粉症で…肌がボロボロで…お化粧して誤魔化そうとも思ったんですが…隠しきれないと思ったんです…
大倶利さんと…今日楽しみにしてたし、デートしたかったけど…』
「はぁ……香澄の見た目よりも…俺は一緒に居たいんだ… だからこうして会いにきた」
『――――それって…?』
「………どんな香澄でも俺の傍に居て欲しい。 今からでも出掛けないか?」
『…すごく嬉しいです…大倶利さんが私の事伝えてくれるの、初めてですよね?
今日は花粉で屋外は厳しいのですが…
「……それなら大丈夫だ…来い」
香澄の腕を握り、歩き出す大倶利。
ただ付いて行くしか出来ない香澄。
駐車場の着くと…助手席のドアを開けて、香澄を座らせる。
『大倶利さん?これって…』
「言ってなかったが、免許取れたから、ドライブでも…
助手席はあんたの特等席だから、誰も…光忠も乗せてない…香澄が初めてだ…」
『―――大倶利さん、大好きです…傍に居させて下さい』
~後日談(?)~
『初めまして、燭台切さん
私如月 香澄です。
いつも大倶利さんの事を気にかけてくれてありがとうございます』
「花粉症だったんだね…大変だよね…大丈夫だったかな?
こんな薬やあんな薬があるだよ、知ってる??」
「おい、行くぞ」
『待って下さいよ、折角気にかけてくれてるのに…
あの今から大倶利さんが調べて予約してくれたので、鼻の粘膜を焼きに病院行ってきます』
「あぁーそういう事か、気をつけていってらっしゃい」
(僕の配慮は余計なお節介だったかな…?)
…完…