第8章 花言葉(くりさに)
「伽羅ちゃん、今日こそは行って貰うからね?」
「……チッ…知らん」
「そう言ってられるのも今の内なんだからね」
「どういう事だ?」
「想ってる事を普段伝えられない漢に付いて来てくれる女の子が他に居ると思ってるの?
鶴さんとか…奪い取られても僕は知らないから…」
「分かった…だがあいつの…」
「それなら僕に任せて!!」
突然燭台切は大倶利のスマホを奪い取って電話をかけ始めた。
「あっ、もしもし?彼女ちゃん
僕、燭台切…突然電話なんかしてごめんね、驚かせちゃったかな?」
『いいえ、燭台切さん、どうしました?』
「僕の相談事、聞いて貰いたいんだけど…今時間大丈夫かな?」
『はい、私で分かる事であれば…』
「僕の彼女ちゃんにね、内緒で指輪を買おうと思っててね
初めてのペアリングってやつで女の子の意見を参考にしたくって」
『なるほど…彼女さんってどんな感じの方ですか?』
「そうだね…優しい子かな…
控え目で小柄でふんわりした…凄く良い子…」
『燭台切さんがノロケるなんて珍しいですね…
そうですね…指輪はなるべく細いリングが良い気がします、控え目な方なら普段指輪をされても目立つ事を好まない気がしますので
あと彼女さんの好きな花とか小ぶりでモチーフされてるのとか付けて可愛いと思われるかもしれないです…
こんな感じで大丈夫ですかね?』
「ありがとう、大変参考になったよ。
あっ、因みになんだけど彼女ちゃんの指輪のサイズっていくつかな?」
『私ですか? 9号ですね
彼女さん喜んでくれると良いですね』
「良い報告が出来るように祈っててね、ありがとう!
それじゃあ切るね」
横でただただ燭台切の行動と言動に呆然としていた大倶利。
「はい、彼女ちゃんの指のサイズ9号だってさ
好きな物は僕よりも伽羅ちゃんの方が分かってるでしょ?
僕が手伝えるのはここまで、さぁ行っておいで」
「はぁ…―じゃあ行って来る」
そう言うと大倶利はある場所へと向かう。