第28章 ふたつの恋のシグナル(宗さにメイン)後編・その2※R18裏
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12月25日
朝、絵を描き終えて無事付き合う事になった薬研と須美佳は、一日早くだが二人でクリスマスを楽しみたいという事もあり、帰る身支度を整えてリビングへ来たのだが。
「宗三ー居るかぁ??俺達帰りたいんだけど」
「宗三兄さまは取り込み中みたいですよ…」
何処からともなく現れた小夜が薬研にそう言うとテーブルの方に指を差す。
"起こさないで下さい"という一言だけ書いたメモがテーブルの上に置いてある。
「……そいつはちょっと聞けねぇーな」
そう言うと薬研はスマートフォンを取り出して電話を掛け始める。
〈もしもし??〉
〈……はぁ、起こさないで下さいって言った筈ですが…〉
〈お小夜に任せて放置って…完全に俺達の事忘れてるだろう??〉
〈貴方達も起こして欲しくはなかったでしょ??〉
〈……はぁ!?なっ、な、なに…言わせるなよ〉
〈思ったより早かったですね……僕達はと言うより彼女がまだ寝てるので貴方達だけでも帰りますか??〉
〈……初めてでムチャさせ過ぎじゃないか??〉
〈それは否定しませんけど、僕の想定外だったんですよ……
今からそっちに車まわして行きますね〉
電話を切り終えた薬研に須美佳は声を掛けた。
「左文字先生はなんて言ってました??」
「……如月先輩はまだ寝てるから起こしたくないだってさ
俺達だけ駅に送ってくれるって」
「香澄ちゃん、いつも寝起きいい筈なのに珍しい…なんでだろう…??」
「……まぁ宗三に任せてたら大丈夫だろ(多分…須美佳は分かってなさそうだけど、俺達よりそーとう激しかったんだろうな…)」
帰ろうとしてた薬研と須美佳の前に、いつもは誰も居ない筈のキッチンから男性が二人出てきて、薬研に面識があったらしく声を掛ける。
「久しぶりだね…薬研くん」
「おぉ、燭台切と長谷部か…こんなところで何してるんだ??」
「何って……お前達が来るって言うから料理全般の手伝いをしに来てたんだ…」