第26章 ミラー越しの君に恋をする(燭さに)
一頻り泣いた彼女の目は少し赤くなっていた…。
でも泣ききった事で落ち着いたみたいで僕の事を見ながら問いかけた。
『こんな私でいいの…??
もう若くもないし…みっちゃんとの約束…忘れてたのに…』
「…初めて出会った時から香澄さんの事が好きだったから…
最初の約束も…本当は初めてのカットの予約じゃなくて結婚の予約をしたかったけどね…格好悪いな…
僕がずっと傍にいるから…一緒に宮城に帰ろう…?」
『私もみっちゃんと一緒に居たいから…帰りたい…宮城に…』
「『そして僕(私)と幸せになろう…』」
お互いの言葉が丸被りして思わずクスッと笑い合う…。
「でもまだ夢みてるみたいだ…
ずっと好きだった香澄さんがいる…」
『…そんな大げさだよ…』
「夢じゃないって確かめてもいい??」
目線を外させないように…彼女の顎に手を掛けて…唇を押し付けた…。
彼女の唇が柔らかくて…少し吐息が漏れだし…角度を変えながら堪能する…。
『……んっ、……ぁ、みっちゃん…もぅ……///』
ストップの意志表示で彼女が胸板を軽く叩く仕草に…名残惜しいけど真っ赤に顔を染めてる彼女に免じて解放した後…「……うん、すごく甘いね……」わざと耳元で囁いた…。
彼女の表情…一つ一つが可愛すぎて…僕の動揺は抑えきれそうにない…。
格好悪い姿なんて見せれないから、色々進めたいところだけど…次の楽しみに取っておこう…。
***
(光忠の胸中)
神様はなんて悪戯なんだって最初は思ってた。
早く大人になりたかった…彼女を守れる大人に…
少しだけ険しい道だった…。
やっと出会えたと思ったら…知らない男と肩を並べている君を見た…
でも諦めても諦め切れない…これはもしかして夢なんじゃないかと何度も思った…
君の笑顔が…隣に居ないなんて…嫌だと思ったけど……自分の幸せより君の幸せに…そう願う事にした…。
そんな僕を見捨てなかった神様が…君をくれたのかな??
彼には彼女が必要じゃなくても僕には彼女が必要だったから…。
そう…これは偶然じゃなく必然で
"僕だけのお姫様"なんだよ、君は…。
~終わり~